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サメの保護(保全)

海水温の上昇や乱獲の影響による魚やサメの小型化についてわかりやすく解説

2023年2月28日

魚の小型化とは


魚の小型化とは、その言葉のとおり魚が小さくなるということです。

その原因として考えられている理由は次のとおり。

  1. 乱獲
  2. 地球温暖化で海水温が上昇したことによる酸素不足
にゃぶり
にゃぶり
どっちも人間の責任だね!

そうなのです。
魚の小型化の原因には、乱獲と地球温暖化で海水温が上昇したことによる酸素不足のふたつが考えられます。
乱獲は人間が海からの恵みを過剰に獲りすぎたため、温暖化に関しては近代的な人間活動により二酸化炭素を多く排出してしまったためです。

乱獲による魚の小型化

混獲や乱獲などにより魚の数が減ると、小型・若齢で成熟する魚の割合が高くなる原因について解説します。

魚の自然死亡と漁獲死亡とは

魚が死ぬ理由は自然死亡と漁獲死亡の2種類があります。
たとえば、サメの場合は小さいうちに死んでしまうサメが多いのですが、その後は寿命まで生きると考えられています。
一般的な魚類も体の成長に伴い、自然死亡率は減少していきます。

にゃぶり
にゃぶり
小さな魚が大きな魚の餌になってしまうからね!

人間が海に進出したことにより、ある程度成長した魚は漁獲によって死亡するようになりました。
そのため、魚類は体の成長に伴い、自然死亡率は減少していく一方で漁獲死亡率は高くなっていきます。

個体数が減ると早く成熟する

混獲や乱獲などにより個体数が減ると魚は小型・若齢で成熟する遺伝形質をもつ個体の割合が高くなります
このことを進化的応答(evolutionary response)と呼びます。
つまり、小型・若齢で成熟する個体の割合が高くなることは環境に対応した個体の生理的な変化といえます。

若齢化の流れ

乱獲により魚の数が減ると、ライバルが減るため食べることのできるエサの量が増えます。
エサの量が増加した結果、栄養状態が改善されて成長速度が速くなります。
成長速度が速くなることで通常よりも若齢で成熟するということになります。
魚の数が多い時期には成熟開始年齢は高齢化、魚の数が少ない時期には若齢化の傾向がみられるようです。

なぜ魚が小さくなるのか

北海北西産マダラの生殖特性における長期的変異 (1970 vs. 2002)

北海北西産マダラの例です。
魚の成熟率と全長の関係は上の図のようになっています。

にゃぶり
にゃぶり
1970年と2002年を比較すると魚が若齢化すると小型化するのがわかるね!

魚が若齢化すると親魚が小さくなります。
そうなると、卵や生まれてくる子どもの魚の大きさも小さくなります。

乱獲に伴う北海北西産マダラの個体群の生物特性の遺伝的変異

このような若齢化の傾向はホホジロザメやクジラなどの大型生物でもみられており大きな問題となっています。
また、生息数が減少している絶滅危惧種のサメ「ヨゴレ」や「クロトガリザメ」も小型化の傾向が指摘されています。

海水温の上昇の影響で魚が小型化

地球温暖化による海水温の上昇の影響も魚の小型化の原因になっている可能性があります。

酸素不足による魚の小型化とは

地球の温暖化による魚の小型化とは、海水温が上昇し、酸素不足になることによって魚の大きさが小さくなることです。
Natureによると、2050年までに魚の全長や体重が14~24%減少する可能性があるとのことです。

海洋の酸素欠乏の原因は

温暖化によって海水の温度が高く変化すると魚の代謝が上がり、より多くの酸素を必要とします。
ところが、海水温が上がることによって、大気中の酸素は水には溶けにくくなるため、海中の酸素量が減ってしまいます。
海中の酸素量が減ってしまった結果、魚の成長が妨げられて小型化してしまうのではないかと考えられています。
また、「Global Change Biology」誌の研究によると、今後数十年の間に、この海水温の上昇による酸素不足が魚類の成長を30%も阻害する可能性があるそうです。

小型化が危惧される魚の数

小型化が危惧される魚の数は75%以上にものぼることが予想されています。
小型化の程度が最も大きいのはインド洋の24%で、次いで大西洋の20%、太平洋の14%です。
海洋温度が1度上昇するごとに、マグロのような活動的な魚は30%も縮小する可能性があり、サケ目サケ科のブラウントラウトのような活動性の低い種は18%の縮小にとどまる可能性があります。
魚が小型化することで、温暖化1度につき約340万トンの漁獲高が減少する可能性があるため、人間にとっても大きな問題です。

サメも小型化

魚の小型化の問題はサメも無関係ではありません。

米国南東部沿岸に生息するサメが小型化

アメリカのノースカロライナ州オンズロー湾で約50年に渡って12種のサメのサイズを調査したところ、10種類のサメが小型化していることが明らかになりました。

サメの種類大きさの減少率
ヤジブカ(メジロザメ)35%
ハナザメ、イヌホシザメ28%
ドタブカ23%
アカシュモクザメ19%
Finetooth shark12%
ニューファウンドランドヒラガシラ、ハナグロザメ、カマストガリザメ10%
クロトガリザメ9%

小型化が35%と最も進んでいるヤジブカ(メジロザメ)は食べやすい肉、大きなヒレの需要が高くサメ漁の対象種として乱獲されていました。
また、釣り人たちからの人気も高く、ヤジブカ(メジロザメ)の個体数は1970年代から1990年代前半の間に3分の2に減少したとみられています。

にゃぶり
にゃぶり
やっぱり乱獲されると小型化するんだね!

同じく個体数が減少しているサメ「ヨゴレ」やクロトガリザメにも小型化の傾向があるようです。

ジンベエザメも小型化

また、ナショナル ジオグラフィックによると、世界最大の魚類として人気のジンベエザメも小型化しているそう。
ジンベエザメの研究チームが数十年分の観測データを見直したところ、1990年代中ごろに発見された最大の個体は全長13mだったのに対し、2000年代初めには10m、5年前には8mと、年を追うごとに最大サイズが小型化しているだけではなく、平均サイズも小型化していたそうです。

サメの小型化に対して思うこと

サメの小型化について考えた時に真っ先に頭に浮かぶのがヨゴレです。

ヨゴレは太平洋戦争で悪名が高くなったサメで全長4mの大型のサメといわれています。
わたしはサメの動画やドキュメント番組を見ることが好きですが、大きなヨゴレを見たことがありません。
ヨゴレは絶滅危惧種の中でも一番絶滅が近い深刻な危機(CR / Critically Endangered)と評価されています。
サメの保全に力を入れない日本ですらヨゴレには規制をかけているような状況です。
ヨゴレは個体数が減少しているので動画が少ないという理由もあるかと思いますが、とにかく小さいんですよね。
イメージでいうと、ツマグロみたいな感じでしょうか。
※大きなヨゴレの動画をご存知の方はお知らせください。

小さなヨゴレを見るたびに「やっぱりヨゴレは小型化しているのかな」とか「大きなヨゴレはもういないのかな」と思ってしまいます。

個体数に問題がない、もしくは深刻な状況に陥っていないイタチザメオオメジロザメヨシキリザメアオザメ、ホホジロザメなどについては大きいな個体の動画や写真を目にすることがあります。
ヨシキリザメなんて、ときどきびっくりするくらい大きな子もいますよね。

乱獲されて個体数の少なくなってしまったサメの小型化が進んでいるというのはとても残念なことです。
だって、海の中にあんなに大きな生きものがいるなんてロマンがあるじゃないですか。

ただでさえ乱獲による若齢化や小型化という問題がある上に海洋の酸素欠乏による小型化の可能性まであるというのは、大型のサメへのロマンを打ち砕くものになるかもしれません。
絶滅してしまうよりは小型化しても生き延びてくれる方がいいのですが、大型のサメたちがこれから先の世界でもそのままでいてくれることを願うばかりです。

参考文献・資料

Size Changes within a Southeastern United States Coastal Shark Assemblage: 1975–2018
米田道夫(水産総合研究センター 中央水産研究所)「国際漁場における漁業資源の管理技術向上にむけた生態学的研究」
田中秀具「ビワマス資源の年齢・体長組成(2014年) 」
成松庸二「マダラの繁殖特性の時系列変化と資源変動」
勝川木綿、渡邊良朗「選択的漁獲による生活史の進化」
ナショナル ジオグラフィック「ジンベエザメが小型化と研究報告 世界最大の魚類、大型個体はどこへ消えたのか」
CNN「海水温暖化で魚が小型化? カナダ研究チームが警告」

漁業の問題に関心がある人におすすめの本

魚が食べられなくなる日 / 勝川俊雄

東京海洋大学准教授の勝川俊雄さんの本。
漁業の問題が平易な表現で解説されているので知識がない人でもサクサク読める本です。
乱獲の問題に関心がある人におすすめ。

日本の漁業が崩壊する本当の理由 / 片野歩

水産会社社員の片野歩さんの本。
Q & A形式でわかりやすく漁業の問題を解説。
現役漁師親子を交えた座談会は読み応えあり。

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今回の動画では、多くのサメが絶滅の危機に直面している原因についてお話しします。

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サメブロガーReinoのプロフィール写真

シャーク・アクティビストReino

シャーク・アクティビストのReinoです。 サメ専門ブロガー&YouTuberとしてサメの生態や保全についてお伝えしています。 佐賀県唐津市生まれ、東京育ち。 慶應義塾大学文学部卒業。 保有資格は環境社会検定試験(eco検定)、日本さかな検定(ととけん)3級🐟 関心があるのは、哲学、サメの保全、環境倫理学、水産学、SDGs14。 好きなものは、7 MEN 侍、SixTONES、永瀬廉(King & Prince)。ブログの執筆と監修を行っています。

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