哲学・思想ブログ

ジョン・レノン「イマジン」の歌詞の本当の意味とは?逆説的なユートピアとしての解釈

IMAGINE / John Lennon の歌詞(英語)

Imagine there's no heaven
It's easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today

Imagine there's no countries
It isn't hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as one

Imagine no possessions
I wonder if you can
No need for greed or hunger
A brotherhood of man
Imagine all the people
Sharing all the word

You may say I'm a dreamer
But I'm not the only one
I hope someday you'll join us
And the world will be as one

イマジン / ジョン・レノンの歌詞(日本語訳)

想像してみて、天国なんてないのさ
やってみれば簡単だよ
自分の下には地獄もない
上には空だけがある
想像してみて、すべての人々は今日のために生きていることを

想像してみて、国家なんてないことを
難しいことではないさ
殺すべきものも、そのために死ぬべきこともないんだ
宗教もまたない
想像してみて、すべての人々が平和に生きているところを

君はぼくを夢想家だというかもしれない
ぼくだけではないんだよ
君もいつかぼくらの仲間になることを願っている
そうして世界はひとつになっていく

想像してみて、所有などないと
君にはできるかな
欲張りになったり飢えたりする必要はないんだ
人類はみな兄弟なのだから
想像してみて、すべての人々がこの世界を分かち合っているところを

ジョン・レノン「イマジン」とユートピア

天国も地獄も宗教も国家も所有もなく、空だけがあると歌われる「イマジン」はヨーコがジョンにユートピアというテーマをインスピレーションとして与えてくれたことから誕生した曲だという。

想像上の理想郷としてのユートピアは、これまでもさまざまな形で、どの時代にも存在し、遥かな昔から形象化していた。
キリスト教における天国についても、その本質にだけ目を向けてみれば、ユートピアと類似しているのではないだろうか。
つまり、ユートピアとは、より良い世界への渇望、今いる世界からの救済などの人間の根源的な欲求が具現化されたものであり、もともと人間の想像力により構築されてきた世界観なのである。

ユートピアというテーマをインスピレーションとして与えられたことから誕生した「イマジン」の歌詞で、ジョンは「想像してみて」と何度も繰り返し、わたしたちを形而上学的な世界に存在するユートピアへと導く。
ジョンの描くユートピアには、天国も地獄も宗教も国家も所有もなく、空だけがある。
「イマジン」の歌詞の中でジョンは宗教とそれに付随した天国や地獄もなく、誰のものでもなかったはずの世界を分断する国家もなく、争いを生み出す所有もない想像上のユートピアを構築して、経験的世界の構成要素をラディカルに壊していくが、すべての人々に等しく分け与えられている空だけはそこにあるという。

ジョン・レノンと逆説的なレトリック

ジョンの作品には逆説的な表現から想起させるというレトリックが見られる。

たとえば、「アクロス・ザ・ユニバース」で「何ものも自分の世界を変えることなどできない」と、自己以外の要素の働きかけを否定することでただ単に「自分だけの世界を持っている」というよりも強固な自我を想起するし、「ノーウェア・マン」では、“Nowhere Man”であるがゆえに、「君は世界を意のままにできる」という外的な世界から切り離された自己の内的世界の存在を明らかにしている。

経験的世界から想像力によって上昇することでたどりついたユートピアは絶対的超越にある理想的な世界である。
そこから下降し、経験的世界に戻ってきたとき、わたしたちは今現実的に抱えている問題と真正面から向き合うことになるのではないだろうか。

つまり、「イマジン」は逆説的に人々の心に語りかけ、それぞれの状況に応じた問題を想起させていくのではないだろうか。
ゆえに、「イマジン」を聴いた人の生きる時代、住んでいる国など個々人の状況によって「イマジン」から想起されるものは異なるであろう。

この逆説的なレトリックは「イマジン」の“imagine there’s no countries ”という歌詞の中にもある。
国家がない世界では、国を守る必要もなければ、戦う必要ははじめからないということになる。
ゆえに、戦争を根絶できて人々は平和に暮らせるということになるのではないだろうか。

世界中の人々が「イマジン」のように考えて、行動することができるようになるのなら、争いは減っていくはずである。
また、それは国家などの大きい単位に限ったことではないのではないだろうか。
個々人をとりまく小さな世界においても、自分の主義主張を押し付けることなく、独り占めすることなく、分断を生み出すことなく、他人に優しくするということを実行していくことができるならば、世界は善くなっていくのではないだろうか。

誰もが海辺の砂浜に座って、こう口にしている。「泳げるようにはなれない」「泳げるようになどなれる?」「流れが強すぎる」「海にはサメがいる」と。そして一生、考え続けるんだ。「どんなことでもできるものなの?平和を手に入れることなどできるの?」とね。だから僕たちが言っているのは、「まずは海に飛び込んでみること」──それだけなのさ (ジョン・レノン)

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麗乃(Reino)

社会人学生として慶應義塾大学文学部を卒業。 学位は美学(Bachelor of Art in Philosophy)。 現役の時は青山学院で英文学を、慶應では哲学を学びました。 佐賀県唐津市生まれ、東京育ちのフリーランスのブロガー・美容研究家・サメ愛好家・Webマーケター・SEOコンサル。 大好きな東京タワーのある港区のとある町で夫とカエルとサメたち暮らしています🐸🦈🗼 UK Rockをこよなく愛するバンドThe Charlene.(シャーレイン)のボーカルMiuとしての顔もあります😎 詳しいプロフィールはこちら

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